Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル

    “どのイベントよりも…vv”
            
*追記あり (1/23) →


いくら何でもお正月だの年明けだの、
おめでとうだのというご挨拶もなかろうほどに、
世間様も新しい門出からはそろそろ落ち着いており。
いや相変わらずに厳しい冬の寒さで、
そうですね、今年は久方ぶりの極寒ですな…とか何とかいう。
この時節らしい天候のご挨拶が交わされていたものが、

 “大寒の日にあの暖ったかさはなかったよな。”

近年の暖冬傾向の最中でも、やはり冬らしい寒さは来るもんでと、
ひとしきり冷たい風が吹きまくったはずの頃合いに、
いきなり異様な暖かさが巡り来たもんだから。
マフラーや手套の忘れ物が多かったくらいは序の口、
汗ばんだせいで却って風邪を拾ったというお声が出たり、
梅や桜が異常なくらいに早く開花して、
花粉を仲介する虫がまだ飛んでないってのに咲いちゃって、
これでは実が付く頃が案じられるなんて言われたり…と。
色んなところでの思わぬドタバタもあった中、
それでも順当に取り沙汰され始めた話題というのが、

 「そういや、こないだ遅い初詣でに行った神社でも、
  豆まきの神事はやるらしいな。」

大学生の皆さんは、
その学舎へ受験生が押し寄せる前にと構えられたる、
後期試験の真っただ中だろうにね。
そんな事情も試練も何のそのと、
学舎裏のグラウンドに繰り出しての練習に励んでおいでの、
フリル・ド・リザードの皆様であったりし。
お昼休憩を前に、みんなのお弁当を受け取りに出向いた先で、
ラジオから聞こえた歳時記レポート、
『鬼の面を作る作業が急ピッチで進められています』なんてゆ、
いかにも今時分の話題が出ていたもんだから。
テイクアウトの弁当屋の店先、
大きな手提げ袋に5つ6つというのを、
受け取ったそのまま回れ右をしつつ、
そうそう、そう言えばと、
そんなことを思い出したらしい葉柱だったのへ、

 「……じじむせぇ。」

地を這うほどもの低いお声で、
短いお返事を返した妖一坊やだったりし。
ほんのついさっきまでは天使のような笑顔にて、
売り子のお姉さんへ
“此処のお弁当は美味しいねぇ”とお愛想振り撒き、
まろやかな中にみずみずしい幼さ満たしたお顔を、
無垢な笑みにてふんわりとたわめた、
類い稀なる笑顔の素晴らしさでもって。
おまけにと…若鷄の空揚げを1パック
丸ごとつけてもらった凄腕さんだのに。
今は打って変わっての…どこのブラックアニメのキャラですかと、
ついつい訊きたくなるよな、棘々しいしかめっ面なのが。
顔立ちもそうだが、醸す雰囲気の落差もまたお見事すぎての、
いっそ末恐ろしい坊やであり。

「何だよ。」
「だってよ。何で豆まきの話題なんだ。
 来週の頭にはチャンピオンシップもあんのによ。」

アメフトボウラーなら、まずはそっちだろうによと、
乾いた陽差しに白っぽさを尚増した頬をわずかほど膨らませ、
空揚げと温かい缶コーヒーの入った袋をクルンと回しつつ、
不平たっぷり言い返す坊やだったが、

「…そうと言いつつ、
 毎年何かしらぶつけて来やがるくせによ。」

しかも機関銃を改造しての乱射でと来るのだから、
こっちはちっとだって油断出来ないったらと。
困りごとのように言う割に、お顔は…にやにやと笑ったまんま。
どうやら、陰気に“迷惑だ”と言っているんじゃあない、
おもしろい行事だからって
お前も楽しんでいようがと言いたい葉柱であるらしく。

 「だって大威張りで乱射出来んだもん。」
 「言っとくが、大威張りでって許可されてる日じゃねぇわい。」

根本的なところで間違っとるぞ、え〜?そうなんか?なんて、
漫才のようなやり取りを交わしつつ、
乗って来た軽四に辿り着くと、荷を後部へと積み込んで。

「忘れもんはなかったか?
 飲み物はメグがマネと用意してるって言ってたか。」
「うん。つか…何でルイまで当番に交ざってたんだ?」

お昼ご飯の買い出しは、
伝統的に一回生部員が交替で受け持っているらしいのだが、
一回生ったって、
葉柱は既に実質“主将”というポジションにいるってのにと、
小悪魔坊やが怪訝そうなお顔をすれば、

 “誰かさんが、
  一緒にグラウンドから離れる理由になるんならってことじゃね?”

くどいようだが、まだ小学生。
すんなりした細っこい肢体に、
一丁前にもライダースジャケットを羽織った姿も、
あくまでも“マニッシュ”に映る可愛さであり。
冬の陽にさらされた金色の細い質の髪が、
時折吹きつける風に遊ばれ、ふわふわと踊るのが、
坊やの夢見るような可憐さをただただ引き立てていて。
なんてまあ愛らしいことよと、
通りすがりの女子大生の方々から二度見されまくりの、
この可愛らしさで、この幼さで。
ここいらのチーマーや族を統括していた一団の、
幹部の面々からでさえ、恐れられてた鬼軍曹。
厳しいトレーニングメニューを勝手に組むわ、
逆らえばどっからともなく取り出したエアガンでの逆襲が襲うわ、
携帯やi-podなどなどの持ち物への悪戯や、
ネット上から待ち受けや設定へという、もっと怖い報復されるわ。
直接殴られるよりもおっかない存在だってこと、
もはや知らない者はないという、恐怖の小悪魔様なので。
サボるつもりはそもそもないが、
そうであっても…鋭く厳しい監視の眸からは、
なるだけ遠ざかりたいと思うもの。

 「なあ、なんでだ?」
 「なに言ってるかな。こういうところは公平でないと。」

白々しい言いようへこそ むうと再び膨れた坊や。
だがだが、車へと乗り込みつつ、
実のところは…こっそり胸を撫で下ろしてもおり。

 “あっぶね。何でまた、豆まきなんて話になるかな。”

そりゃあま、これからやって来る行事じゃああるけれど。
それを腐すのにとついつい持ち出した、
アメフトの
チャンピオンシップの開催日の方が先であり。
しかもしかも今年のその日は、

 “1月25日、だもんな。”

選りにも選って、
誰かさんの誕生日じゃああ〜りませんかと来たもんで。
このところは二月の頭で、
それこそ豆まきとかぶっていたりもしたものが、
今年は一月末に構えるなんて。
それでなくたって、時差の関係で、
日本時間じゃあ平日の朝早くか昼間にずれ込む一大ゲーム。
これまでの年は、練習も休みにしての観戦と洒落込んでいたから、
今年も恐らくはそうと運ぼう。
そんな段取り口にした折にでも、
“あ、そういやルイさんの誕生日じゃありませんか?”なんて
誰かが言い出したらどうしよか。
お祝い会もかねて、皆で集まりましょかなんて、
そんな運びになったらどうしよと。
スケジュールの日取りやイベントの話題、
実は冷や冷やしつつ口にしている妖一くんであり。

 “プレゼントだって、手渡しの段取り組んでんのによ。”

皆で集まるなんてことになったら、
あのそのえっと。////////
そんなになったなら、渡すブツ自体を変えなきゃなんねぇじゃんかと。
よほどのこと、
柄に合わない 優しいものをでも予定しているらしいご様子であり。


  …… そしてそして


 「そういや、今年のバレンタインデーって日曜なんだってな。」
 「っ、そうだぞ。ホワイトデーもな。」

何だよ、今年は珍しいなっ。
いやなに、今年も“逆チョコ”ってのが健在なんだったら、
俺も買う側になんなきゃなんねぇのかと思ってよ。

 「あ、でもお前、甘いのは苦手だったか。」
 「…おうよ。//////////」

でも、くれるってんなら貰ってもいいぞ?
そうか? じゃあ何か見繕っとくな…なんて。
軽いやりとり交しつつ、
運転席のある右側からとその助手席のある左側からに別れ、
それぞれで車へと乗り込みながら…ふと、
口許に少しほど笑みを深めた葉柱だったのは、

 “な〜んか判りやすい取り乱しようになりやがんのな。”

とっくに気づいている上でのこと、
あんまり可笑しいからに他ならず。
彼とても、
自分の誕生日がえらい日と重なっていることくらいは先刻承知。
この年で“ハッピばすでい”もなかろうと、
こちらが特に感慨もないしと構えたその丁度真逆に、
誰かさんが妙にドギマギするのが伝わって来て。
恐らくは、彼が隠し下手になったんじゃあなく、
交際歴がやっとのこと物を言い、
葉柱の側の鼻が利くようになっただけなのだろうけれど。
無理から話を誤魔化そうとしたり、
わざとらしくも棘々しい物言いをし、
内心のやきもきを隠そうとするのが、また。
咬みつくようなお顔をされても、毒のあるよな言いようされても、
何とも可愛い…と思えてしまう。そんな自分へ、

 “これこそ病膏肓というやつなのだろな。”

(うち)なる余裕…とは思わぬところが、
大物なのだか、お暢気なのだか。
春の手前に生まれた総長、
微妙にご機嫌なお顔のままなの、
シートベルトを回す仕草に誤魔化しながら。

 “週明けの当日まで保
(も)つかなぁ。”

つか、それこそ何で俺が遠慮しなきゃならんのかねぇと、
そうと思うことこそが、新しい笑みを運ぶからややこしい。
車道に出るべく、後方から来る車を見ようとした肩越しの視野の中、
携帯をいじりかけ、だがだが、
む〜んと眉を寄せ…かけたのを
慌ててやめた坊やだったのも、見ぬ振りしつつ。


  あと3日の辛抱だ、
  頑張れ
(?)葉柱さんっ!





   〜Fine〜  10.01.22.


  *そうなんですよね。
   この時期っていうとと話題になるもの、
   豆まきと
(笑)聖バレンタンデーよりも、
   少しほど手前辺りの日程へ。
   毎年毎年織り込まれているのが、
   NFLのチャンピオンズシップと、
   葉柱さんのお誕生日、だったのですが。
   今年は何とそれが重なってるじゃああ〜りませんか。
   忘れないようにとチェックしたらば、
   そうだってことが判明し、
   ありゃまあと呆れてしまいましたのを、
   ついついお話へも持って来ました。

   妖一坊ちゃんは、でも、
   お父さんからも外出を阻まれるやも知れんというのを、
   ソロバンに入れとかんとねぇ。
   一緒にテレビ観戦しようとか、
   どうかすりゃあ
   “コネがあるからVIPルームから観よう”なんて言われて、
   現地へ飛ぶべく、
   前日から取っ捕まっちゃうかも知れません。
(おいおい)

  *追記 (1/23)
   何か変だな、
   NFLのチャンピオンズカップは“スーパーボウル”じゃなかったかと、
   曖昧な記憶をググってみたらば、
   チャンピオンシップというのは
   NFCとAFCのチャンプを選出する代物で、
   そのそれぞれの勝者が、
   全米ナンバーワンを決める“スーパーボウル”へ出てきます。
   そっちは、2月8日に
   今年はマイアミのドルフィンスタジアムで催されまして。
   …う〜ん。まあ、どっちも大事だから、
   ファンなら見逃さなかろということでご容赦を。

    ( NFL日本公式サイトは
こちら )

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